(磐越東線に乗車)
舞木を出ると最初のトンネルに入る。その後も何度かトンネルを潜ったが,そのポータルは写真のような石積みで歴史を感じさせる。この区間は1914年に平郡西線として開業した区間であるので,その当時からのものであろうか。
線型が良いのか,速度は90q/h位出ている。キハ110系の性能に依るところもあるのだろう。これがもしキハ40辺りの鈍重な車輛であったら乗ろうとは思わなかっただろう。

緑の比率が下がったのが船引で、ここではざっと見20人が降りた。ここから神俣まではある程度開けた中を走った。大越を出ると採石場らしい白い山肌が目に入り影森を連想する。かつては同駅まで貨物列車が乗り入れていたらしい。神俣の手前では風力発電用の風車が山の稜線に沿ってずらりと並ぶ様が見えた。

 
夏井から川前の間でいわき市に入る。しかし市という言葉の響きからは想像し難い風景が展開した。列車は山入る山に分け入るようになり、トンネルが幾つも続く。集落は家5〜10軒の集まりが度々見られる程度である。川前から先は鉄道と道路以外に人工物が認められない状態である。何より10分も走り続けているこの不安な感じが県境越え区間らしさである。ここから暫く、小川郷までは山また山の状態が続いた。

小川郷で何やら不思議な物を発見。2/3にカットされた客車らしい車体である。銀色に青い帯が入っている。妻面に入口があって出入りできる様子だ。
赤井を出る頃になるとようやく住宅が目立ち始めた。常磐線が眼下に見えトンネルを抜けるといわきである。
  いわきに到着。かつては平という駅であったことは割と知られている。改札を出たところが東西自由通路となっているが,そこにやけやたらとDQN臭のする人々がたむろしていた。駅前に出る。こちらはやけに高校生が多い。後で地図を見てみると駅周辺に高校や中学校,大学が集中していることが分かった。そんな若さで一杯の駅前なのに何故か流れていたのがYMOというのは実に可笑しな感じがした。

本日の最終目的地は浪江だが、折角のアオハル利用なので3駅ほど見ていくことにした。上り列車に乗り目指すのは日立。415系は本日初のオールロングシート車である。座席に余裕を残したままいわきを出発する。車窓は郊外とでも言っておけばまぁ間違いないだろう、というものと僅かな工場群という風。車内が一気に寂しくなった勿来を過ぎると海がちらりちらりと見えるようになった。

京浜東北線カラーの209系がうじゃうじゃいる(2007年の3月に来た時は廃車された415系の鋼製車が大量に留まっていた。)高萩を過ぎ,十王に差し掛かる頃、夕日は山の向こうに姿を消してしまった。

日立に到着。発車メロディは『いつでも夢を』吉永小百合と橋幸夫が歌った1962年のヒット曲で,日立市内の各駅(大甕〜十王間)で導入されている。これは作曲者の吉田正氏が日立市の出身であることに由来する。駅舎は橋上化工事の真っ最中。完成すれば現在の海岸口も中央口もなくなる訳だから、訪問できて良かった。
コンテナが置かれ、トラックが待機している場所はかつて側線だったのだろうか?新駅舎がやけに高い位置にあるのを見ると、完成後も何らかの荷役施設として使うようだ。


 再び下り列車に乗る。案の定混雑していたが,夏休み中らしく遊びに行って来たような雰囲気の人が多い。1駅先の小木津にて下車。
ベッドタウンなのか,1面2線の橋上駅舎は人で溢れ返った。それを委託らしい駅員1人で捌いていく。誇線橋から海の方を見ると
住宅地の向こうに日立の工場が広がっていた。ところで,この駅でも『いつでも夢を』が流れるのだが,やはり日立といったらあの曲のイメージの方が強い。まんまCMになってしまうという判断で採用されないのだろうか。

E501系が来た。奇しくも2007年に訪問した際に水戸-勝田間で乗車した車両である。残念ながらこの車両は日本製のインバータに交換されてしまっていて歌わない。初めは空席が目立つ車内であったが日立に到着後どっど客が増えた。会社帰りらしい人が多い。このような時間帯にこそ4扉ロングシートの車輛の威力が発揮されるというものである。
大甕へ。かつては日立電鉄線が接続していた。かなりの大廻りではあったがこれで,同電鉄のかつての両端の終点を訪ねたことになった。事務所にスタンプがあることを知ってはいたが、駅係員は客の落とし物の対応をしていたが為に押せず。残念。改札を出るついでに押した方が良いかも知れない。

と,ここでカメラのバッテリーが切れた。半分日帰りだからと油断していた。
ここから本日の最終目的地、浪江を目指す。来たのはE501系。歌う電車だ。IGBTに換装されている車輛もある中、実に幸運なことである。もう外は暗いのでゼミで使用する本を読んで過ごした。その内うつらうつらとして寝込んでしまうと、湯本まで来ていた。
いわきで乗り換える。車両は415系。ここから更に1時間行くと浪江に到着である。国鉄後期に建てられた風の駅舎。直営駅らしい。 

ナツタビ2010-第3部-富士山麓乗り鉄記
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