ナツタビ2010(6) |
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福島県内に入っても然程変化のない車内であったが,磐城塙で10人程が乗り込んで来た。皆々自動車を運転できないであろう人だ。(児童・高齢者)その人々を含めた10数人が磐城棚倉で降りた。 泉郷。正午の時報と共にホームに降り立つ。かつては2面2線の対面式だったようだが、片方はライオンズクラブの管理する花壇となっている。 赤みがかかった桃色に塗られた駅舎は実に小気味良いスタイルで好感が持てる。2時間以上乗り続けて来たから尚、良い建物に見える。 次の列車まで30分ほどあるので駅周辺を歩いてみる。国道118号線を越えたところから坂があり、それに沿うようにして家々が立ち並んでいる。農家と思われるようなどっしりとした構えの家が林立する。藁が練り込まれた土壁の倉庫もある。農家で特徴的だったのは入母屋であること。群馬で見られるような切妻は比較的新しい家に見られる程度であった。 |
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続いて磐城浅川へ。初老のアオハルユーザーと共に降りる。携帯電話で駅名表を撮影していたのは意外だった。 さて駅本屋。瓦葺の切妻屋根,板張りの外壁は赤みがかった桃色である。大きな窓はサッシになってしまっているが,桟の形状がレトロな雰囲気を漂わせている。 また30分程あるので駅周辺を歩くことにしたのだが、これがまた凄かった。看板建築、長屋、擬洋風建築、石造りの倉庫、と筆者の食指を動かすジャンルの建物が ゴロゴロしていたのである。古い駅舎が残るまちには歴史ある建物を残そう(とはっきり意識してはいないかも知れないが)という気風があるのかも知れない。 |
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新幹線の高架橋が見え、東北本線が寄り添って来ると安積永盛である。 列車が到着すると同時に郡山方面に向けて東北本線の列車が発車して行った。 僅かな停車時間を利用し駅舎を撮影。あわよくばスタンプも…と思ったが係員は別の客の精算に追われていてそれは叶わなかった。残念。もっとも,無理をしたところでそうそう上手くは行かないものか。 東北本線に入るとそれこそ電車のような走り。100km/hを軽く超す速度で,郡山貨物ターミナルの横を通過する。電車のようなというより電車そのものをと言っても過言ではない。そんな速度も,車両の解体場付近ガクンと落ち,そろりそろりと駅構内に入って行った。切り欠きホームである3番線に停まり郡山に到着。これにて水郡線完乗である。 |
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郡山駅は福島県で最も乗車人数の多い駅らしい。県庁所在地の福島を差し置いて,これは凄いことである。駅ビルであるエスパルはこの日休業で,駅構内はそこそこ静かであったがそれでも多くの人がいた。これまで見て来た駅がまるで人のいないような駅ばかりだったので尚そう感じるのだろう。 駅前に出る。高速バスや路線バスの発着するバス専用のロータリと自家用車専用のロータリが完全に分離されており美しい。駅の出口から両者へは屋根が付いており,傘を射さずに移動できるから尚良い。そしてそのデザインも良い。 駅構内の土産屋で柏屋の薄皮饅頭を購入。試供品をおまけで1つ貰ったので早速食べてみると成程皮が薄い。底にかけては餡子が透けて見える。一応箱には入っているが,取扱いには注意せねばならない。 |
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このまま東北本線を南下して埼玉に帰るかと思ったら大間違いである。 この日は浜通りにある祖母の実家を訪ねる予定なのだ。それに,折角のアオハル利用,乗り放題の切符は使い倒さねばならない,という自分で勝手に定めたオキテを守って,次なる路線へ乗り継ぐとする。磐越東線(ゆうゆうあぶくまライン)である。 いわき行きの列車はキハ110系の2連。発車10分前の時点で車内は既に混み合っており,相席となった。ここもやはり部活帰りらしい高校生と高齢者が多い。 発車前には10名程の立ち客が出た。本数もさして多くないから仕方ないか。 列車は郡山を出て少しだけ東北本線と併走すると緩いカーブを描きながら,住宅街の中へと入っていった。そしてもう阿武隈川を渡ってしまう。あぶくまと愛称に着いているが,阿武隈川を見られるのは只のこれ一回のみである。 |
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