ナツタビ2010!(2)


替佐にて下車。文部省歌『ふるさと』のメロディーが聞こえて来た。作詞者の高野辰之が当地の出身ということに因んでのことらしい。駅は業務委託。窓口に[自動改札機では使用できません]との注意書きが掲げられているところを見ると常備券を置いているようだ。
次の列車まで30分ほどあるので駅周辺を歩く。駅前通りには商店が数軒。そして築50年は軽く越していそうな民家が立ち並んでいる。駅周辺500m.くらいをぐるっと廻っただけでも10件発見した。国道らしい道に出るとセブンイレブンの看板が目に入った。無粋ながらそこで昼食を購入。
再び車中の人となる。ここから十日町まで2時間弱の乗車である。2両でやって来た列車は戸狩野沢温泉で豊野方の1両を切り離し、身軽な体となった。自動放送は十日町行きだというのに、越後川口行きと案内している。思うに十日町から列車番号が変わるだけで結局,越後川口まで同じ車輛を使うのだろう。(十日町では1時間ほど停車する。)
戸狩野沢温泉を出た列車はスノーシェードを何度か潜った。家々の屋根にはかなりきつい傾斜がついている、豪雪地帯であることを窺わせる風景だ。そんな中にある森宮野原は過去に国鉄の駅至上最高の積雪量を記録した駅として有名である。その記録が打ち立てられたのは昭和20年2月12日のこと。積雪は高さにして7.85m.…と駅構内の標柱にあった。ここで乗客が4人に減った。

十日町に到着。駅舎の背後にあるのは,ほくほく線の高架橋である。駅前はバスを待つ人がいるくらいでひどく閑散としている。もっともこんな暑い中わざわざ街に出て来るような人もいるまい。ここで1時間待ちとなるので,十日町市街地を歩いてみることにした。
 十日町といえば雁木である。これは建物の2階部分を張り出したものである。雪が降ろうと雨が降ろうと通行に不自由しないという建築上の工夫だ。「ここまで来たのだから一つ見ておこう」と駅の外へ出る。成程、駅前通りの歩道には覆いが掛けられている。しかし何かが違う。筆者がイメージしていた雁木というのは木造であり、こ蛍光灯なんてハイテクなものはついていない。そもそも上に建物がないじゃないか。「本物の雁木は何処だ」と直進するもあるのは綺麗な屋根ばかり、交差点に突き当たっても尚同じ。「あの教科書の内容は嘘だったのか?」と諦めかける。すると、出た、大通りから少し奥に入ったところに。木造、2階部分の張り出し、電灯なし、これぞ筆者の求めていた雁木の姿である。

十日町から再び同じ車両に乗車し越後川口を目指す。部活帰りらしい高校生の姿が目立つ。十日町を出たところでは市街地を走っている風であったが,魚沼辺りまでやって来ると,またしも田畑と山主体の風景が車窓に展開し始めた。内ケ巻に至っては周辺に家一つ見えやしない。

ナツタビ2010!(3)
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