ナツタビ2009(9)

ML信州の出る9番線に上がると衝撃の光景が展開されていた。
人々人々…壁に張り付く者背伸びをする者、姿勢は各々だがカメラを向けていた。歳は13〜15くらいに見える。皆胸に揃って同じバッヂをつけている辺り、何かの団体らしい。どう考えたって糸魚川まで抜けるに決まっている。車両は長ナノ所属のN101編成。松本に通っていた頃、これの回送をよく見掛けたものだ。

座席は「昔ながらの〜」という形容が似合う色合い、形状。リクライニングはするが座面は動かない。棚の上は大荷物で埋め尽くされている。山に行く人が多い…どころではない、列車全体でも山に行く人:同業:その他=6:3:1になるように思われた。器用なもので、新宿を出た頃の記憶すらないほどすんなり眠ってしまった。

目覚めたのは塩尻に到着した時。まだ4時台であるが起きていることにした。松本に到着。こんな朝でも「まつもと〜」を聞くことができた。懐かしい。デッキまで出ていくと、進行方向左側を凝視する。列車は5番線に到着、あの、あのダイナミックストライプが目に飛び込んできた。新島々行きの快速列車である。一度は乗ってみねば。テンションが上がってしまった為、終点白馬まではまるで眠ることができなかった。

白馬に到着。山に行くらしい人々がバスに乗り込む。塗装はアルピコ。改めて長野に来たことを実感する。駅前の居抜きらしいマクドナルドが雰囲気を損ねる。マクドの力は強大なり。

後続の列車に乗り換える。山に向かう人以外の人が全て2両編成の列車に乗ることになったが,それほど混み合うこともなく,立ち客は出なかった。しかし北線乗車のことを考え,予定していた白馬大池の訪問は断念せざるを得なくなった。

3度目となる大糸北線への乗車である。
MLから流れて来た客がそのまま南小谷の2番線に列を作った。自分の前には得体の知れない中学生がグループが並んでいる。「ロケができないばっかりか座れないんじゃないか。」諦めたかけたところで天の声、いや先生の声が聞こえた。「全員移動!タクシーで行くぞ!」
こうして列の先頭に出た筆者。昨日の201系にしろ何にしろ、やはり変に期待してかからない、むしろ諦める位が良いのかも知れない。

たとえ独りであってもここは大糸北線。ロングシートには座らない。相席になろうが何だろうが構わない。エンジン直上のボックスシートに座る。一度はロケを諦めたが、車両は今や数少ないキハ52系である。一応レコーダは回して置くことにした。これは記録として重要な音である。

自分が最も好きな小滝の辺りは、人工物という人工物が緑に飲み込まれている。某幻想の世界。
根知で首都圏色の車両と交換する。今まで静かだった鉄研の人々が一斉に声を上げた。「タラコだ!」「撮れた?撮れた?」「帰ったら送って!」この,車両に対して大歓声を上げる行動,多分,一般人がもっとも理解のできないテツヲタの行動ではないだろうか。

頸城大野まで出て来ると人家が立ち並び始め、サミットが終わったような雰囲気になる。姫川の先で最後のトンネルを抜け、糸魚川市街地に入っていく。

糸魚川の手前で建設中の北陸新幹線の高架が車窓に現れた。この大糸線も、これから乗る北陸本線もこれが開業した後の処遇は明らかにされていない。大いに気になるところ。整備新幹線と並行在来線の問題は必ずセットで来るがどちらの路線が地域の人間の生活に影響を与えるのかどうかをよく吟味して戴きたい。

ナツタビ2009(10)

いい日旅立ち