ナツタビ2009(10)

糸魚川からは419系。2日前に種車に乗り、今日は改造車に乗りと実に贅沢な旅。

列車は暫く海沿いを走ると、泊の辺りで内陸に入って来た。入善、黒部と比較的大きな町に着く度客を拾い、自分のボックスも埋まった。しかしながら横になることを前提としたシートはかなり広い。他人が降りようとする時にわざわざ足をどける必要がない。
冷房の効きが宜しくない。天井が高いせいで車内の空間が広いのに、クーラーが小さいのだ。更に窓は一部を除いてハメ殺し。「何てこった」と思っていると…弱冷房車だってさ。



富山に到着。5.6番線と2番線の間は駅施設が撤去されていた。前回訪れたのは2006年。あの時は「ここ,何年前なのでしょうか?」というほどのレトロな雰囲気を感じ取ったが,それがこれから新幹線の通る綺麗な駅になってしまうのだ。それにしたって,金沢福井駅部は既に高架が完成しているのに…この工事の進捗度の違いはなんだろう。

金沢行きの電車は455系。
座席は大方埋まっている。が、それは荷物とか何かが載っているからである。感覚がモロ田舎だ。しかしそれを正す人は何処にでもいるようで、荷物を退ける光景が何度か見られた。高校生がやけに多いが、オープンキャンパスに行くのだろう。筆者の時は移動=鉄活で、勉強して行かなくて大丈夫かしら?と思ったがそうしている人間は見た限り皆無。杞憂だったらしい。

電車は田んぼと住宅地とが交互に現れる中を走って高岡に到着。乗客が若干入れ替わる。石動を出ると唐突に山がちな風景になった。富山と石川の県境である。筆者の田舎出身の源義仲という武将が戦勝した倶利伽羅を出て、津幡に来る過程で再び家が増えてきた。

森本の手前から北陸新幹線の高架が並行する。相席の客の話題にもなる「いつ出来るんだっけ?」開業予定まであと5.6年もあるのに、保守管理費用が勿体ない気がする。「予算も下りたし,とっとと造ってしまおう」という上の意見か内部事情は知る由もない。

金沢に到着。次の福井行きまで1時間あるが「乗れるだけ乗る」という方針の下、小松行きに乗車。富山からずっとそうだが、すれ違う列車はほとんどが特急である。いかに特急に客の気を向かせるか、という戦略なのか。時刻表を見ても特急との接続ばかりがやけに良い。
それ故アオハルユーザーは泣かされるのかも知れぬが。

車両は471系。車内は一人一つのボックスに座っても何ボックスか余る空き具合である。当然ロケを始める。クモハの一番後ろ側、乗務員室で録ることにする。走り出しは鈍いが、高速域で随分と激しい音を立てた。いったい時速何キロで走ってるんだろう、と速度計を見れば100km/hを軽く超えていた。

重機のKOMATSUのロゴが見えて来て,小松に到着。高架上に島式ホームが二つ。四線敷かれている。最近建てられたらしい駅舎には大して印象に残るような部分はない。
ただ金沢といい,ここといい,これだけの規模の駅に自動改札機がないことが,関東の感覚からすると不思議で仕方がなかった。将来分離するのだから投資しないのか?

小松から折り返し金沢行きに乗り小舞子で下車。降りたのは筆者を含め2人だった。
駅構内は 対向式二面二線。海水浴場側に簡易な出入り口が、反対側にコンクリで造った箱形の駅舎があった。駅舎側のロータリには植え込みに紛れて親子の彫刻が建っていた。面倒なので探りをいれることもせず、意味は考えないでおく。近くに海水浴場があるそうだが,生憎時間も水着も泳ぎの技術もない。

接近放送の「禁じられた遊び」が流れると福井へ向かう電車がやって来た。419系。空いているのか混んでいるのかまるで検討がつかなかったが、来てみれば前者。北陸本線完乗は難儀なく完了するようだ。

福井からは1編成4億円の521系。この地区唯一の転換クロスシート車。
昼過ぎの発車だったが,学校からの帰りらしい高校生などで座席が大方埋まった頃に発車。それまでの曇りが,遂に叩きつけるような雨へと変化した。しかし湯尾まで来ると途端に静かになり、南今庄ではただの曇り空になっていた。

長い長い長い長い長い北陸トンネルを抜けると交直切換が行われる。しかし521系では照明が落ちたりはしない。走行音が信じられぬほど静かになるだけだ。今回の旅行、これで東西両方のデッドセクションを通過したことになる。

ナツタビ2009(11)

いい日旅立ち