ナツタビ2009(11) |
敦賀からJRWご自慢の新快速で近江塩津を目指す。乗り継ぐ人は少ないらしく,1号車には筆者を含め5人しか乗って来なかった。この好き具合を良いことに,普段はやらない前面展望をするとする。この車両はそうしてくれと言わんばかりの窓の広さがあった為だ。 |
敦賀を出た後下り線と分かれると有名な新疋田ループ線へと入って行く。ただここはトンネルの中にループ線がある為その実感がイマイチ「あー言われてみれば回っているようなそうでないような」かぶりつきをしてみて得られたのはそんな感想。いつも通っている人も案外知らないのかもしれない。 |
近江塩津で乗り換え。こんな山の中にジャンクションがあることに,いつ来てみても新鮮味を感じる。待っている間,蝉の大合唱が聞こえてきたが,雷鳥の通過音に儚くもかき消されてしまった。米原まで再び223系に乗る。長浜まではロケラン状態,冷房もついていなかった為ロケをする。米原で米原始発の8両編成に連結。以前訪れた時にはかなり待たされたが今回はすんなりといった。 |
米原は前回訪れた時には工事中で「米原駅は新しく生まれ変わります」というキャッチフレーズがあった。乗り継ぎ時間の暇潰しも兼ねて、ひとつ見に行くことにする。 成程改札口は新しくなっている。しかし左側には見覚えのある通路が。まさかと思って進むと案の定、西口改札があったと思われる空間が現れた。ロータリへ出てみると、何のことはない以前訪れた時そのままの西口が。エスカレータとエレベータがついただけである。結局、改札口を一ヶ所にしたかっただけらしい。JRの都合に合わせただけだったのか? 例のキャッチフレーズが剥がされた痕が痛々しい。 |
柏原にて下車。駅舎は昭和50年代頃に建てられた風のコンクリ造りの四角い平屋建て。構内は島式二面四線。基本的には2.3番線を使うらしい。米原方に保線車両用の側線がある。少し分かり辛いが,ひさしに掛けられている丸い板には「本日もご乗車ありがとうございます」とあった。 通りの方に出てみると木造建築が立ち並ぶ町並みがあった。見れば旧中仙道柏原宿とある。有機的な木の建築と無機的なコンクリの建築を対比してみて、駅の方は何故建て替えられてしまったのか気になった。 |
東海道本線のこの区間(大垣-米原間)はいつも込んでいるという印象があったが,次に来た列車は筆者ただ一人が乗り込み,乗り混んだ先の車内でも筆者一人という寂しい状態。列車は極めて日本臭い景色の中を走っていく。田畑に集落,集落に畑に…童謡「汽車」はもしかしたらこの辺がモデルになっているのかも知れない。 |
続いては関ヶ原。全国的に高い知名度を誇るが故、利用者が多いのかどうなのか自動券売機も精算機も自動改札機もKIOSKもある。ご丁寧に自販機の横には飲み残しを捨てるバケツまで置いてある。建物自体は数十年前に建てられたのではないかという風合い。実はとても古いんだけど、外壁を直して直して使い続けているようにも見えた。 駅構内の形式は柏原と一緒。1番線が東海道下り普通列車、2番線も同様。3番線が東海道線下り垂井線経由列車4番線が東海道線上り全て、と使っているらしい。見たままだが。待っている間にも,貨物列車,WVしなの18号,WVひだと次々に通過していった。 |
大垣まで来た。何度も通ってはいるが,駅の外に出るのは今回が初めて。その大きさに驚く。 30分ほど待った末,東海道本線美濃赤坂支線(正式名称は知らない)に乗る。この支線への乗車をもって「東海道線完乗」としたいところだが垂井線(垂井-関ヶ原間の下り優等列車のみが走る)をまだ潰していない。車両は素っ気のない313系300番台。 列車は大垣を出ると荒尾信号所まで快走。信号所を出たところですぐ唯一の途中駅である荒尾に到着した。珍しくここで車内検札。ほとんどの人が定期券を差し出す中、アオハルを差し出す筆者。「18きっぷですね」とわざわざ確認するように言われる。 |
程なくして終点美濃赤坂。EF65がホキだか何かを牽いて停まっているのが見えた。貨物積み降ろし用の施設もある。元々この駅の奥にある工場への貨物線であったらしい。 列車を背に緩い階段を降りて行くと駅舎があった。東海道線内で一番古いのではないかと思わせるような下目板張りの木造建築である。事務所内には灯りが灯り人の動きもあるが、制服を見るにJRの職員ではなく東濃運輸の社員のようだ。窓口の類が一切ない壁には「運賃は車内又は着駅でお支払いください」の表記がある。 |
駅前広場は半分が自転車置き場になっている。東濃鉄道と書かれた物件が二件、何やら怪しげな物件が一件目についた。ガラス戸の向こうにパイプ椅子がいくつも並んでいる。人を集めて商品販売かなにかをするのだろう。 この支線は折り返し時間が僅かであるため、乗って来た列車はあれよあれよという間に姿を消した。約30分後の列車を待つことにする。これが日中だと何時間も待たされてしまう。 夕闇が次第に濃くなって来る。開け放たれた窓からは夏らしくない涼しい風が吹き込んで来る。先程の貨物列車がコトンコトンとジョイント音を響かせて去っていった。建てられて半世紀は有に越えているであろう駅舎の待合室にいるのは筆者ただ独りである。 |
ナツタビ2009(12) いい日旅立ち |