ナツタビ2009(5)

越後湯沢で一回、高崎を出た頃に一回と度々目覚める内に朝が来た。結局隣には誰も来なかった。大宮を出ると東北貨物線-山手貨物線を通る。つまり湘南新宿ラインと同じ経路を取る。同運行経路が存在する以前よりここを走る旅客列車は存在したということだ。

新宿に到着。あの日中から夜にかけて人でごった返している連絡通路はがらんどうとしている。山手線内回りに乗る。中央総武緩行線の13番線にE233系が走っていて初めは戸惑ったが、何のことはない、まだ快速線は運転が始まっていないのだ。

品川から京浜東北線南行きに乗り換え鶴見へ。鶴見線の各支線を乗り潰す。会社員ばかりで肩身が狭いだろうな…と恐縮して扇町行きに乗り込んだが何のことはない。同業だっているじゃないか。かの会社員だって見慣れたのか一瞥もくれようとしない。

弁天橋で下車。
駅舎は二つの建物を合わせたような独特の形をしている。橙色の瓦葺き屋根は色がくすんでいる。駅前に朝から開いている食堂があった。「工業地帯で朝食を」等と洒落(てないだろ)込んでみようと思ったが,大川に行けなくなるのも難なのでパス。鶴見方に留置線があった。

続いて海芝浦へ。海に一番近い駅とはよく言われるが,入るのを躊躇われる様な海の色。
東芝信奉者の自分が行かずに誰が行くのだと決めてかかっていたから意気も高い。簡易suica装置の改札を出たところに例の守衛所がある。自動改札機のようなものまであるからかなり本格的だ。脇に目をやると「東芝構内の撮影はご遠慮ください」とある。全ては企業秘密の世界か。

駅の外には出られない。東芝が「折角だから」と造った公園にも入れない。ましてや東芝の構内にも入れない。「光る光る東芝〜♪回る回る東芝〜♪走る走る東芝〜♪歌う歌う東芝〜♪」なんて大昔の
歌でも
歌ったら工場長辺りの許可で…見せてくれる筈がない。折り返し電車は「横浜ディスティネーションキャンペーン」のHM付き。乗ったのは筆者含め2人だった。

続いて大川へ。これにて鶴見線完乗。
日中は旅客列車が全く来ないのだから、神奈川県内の駅で最も発着本数が少ないのではないかと思う。駅の周辺には三菱電機や日穀製粉の文字が見える。「果たして平日の朝に4本きりしかないのにここで働いている人はどうするのだろう。」そう思っていると、バスが線路の向こう側を走り抜けていった。武蔵白石を経由し川崎まで行くらしい。こちらの方が便利だろう。

駅の側には警報機のない,手動の遮断機らしきものはある踏切があった。これは第4種というより,第5種踏切と言った方が良さそうだ。「貨物の入れ替えの際は通行できません」とあるが,ご覧の通りの草茫々でそれがされている様子は見て取れない。また駅も列車がなければ廃駅にしか見えない。

ナツタビ2009(6)

いい日旅立ち