首都圏の通票閉塞区間を見に行く-久留里線(1)

 
 
青春18きっぷが1回分余っていたので出掛けることにした。行き先は千葉である。
宇都宮線→上野→秋葉原→錦糸町→総武快速線とごくごく当たり前のルートで向かう。
何とも形容し難い独特の空気は漂う千葉に到着し,5.6番線ホームへ。内房線の君津行きは横須賀線色と
湘南色による10両編成である。京浜東北線から転属して来た209系に押される形で数を減らしているから,
この姿も近々見られなくなるかもしれない。列車は東京方面からの接続待ちの為に2分遅れて発車。
蘇我にて乗客が入れ替わる。ここでも接続待ち。その蘇我を出ると高い建物は減って住宅が主になった。


 
五井にて途中下車。小湊鐵道のホームには記念写真を撮る人が何人もいた。JRとの中間改札はなく,
連絡通路には簡易Suica装置が設置されている。乗車券類は跨線橋の下にある事務所で買うようだ。
ハイキングに行くらしい人がそこそこ乗っている。メディアへの露出が相次いだ影響だろうか。
車庫には明らかに年代物と思われる気動車が何両もゴロゴロしていた。バックの修繕庫も建てられて
半世紀以上になるのではないか。実に良い雰囲気を醸し出している。極め付けは打鐘式踏切。
程無くして気動車がやって来た。

 
木更津に到着。本日のメインはここから分岐する久留里線への乗車である。
下車すると、国鉄色に塗り替えられたことで話題のキハ30が3両、てんでてんでに留まっているのが目に入った。
ホームで待っていると、キハ37+キハ38+キハ37+キハ38の編成が入線して来た。
上総亀山方の2両を切り離し、2両編成となって上総亀山行きとなる。
走り出してみると実にゆっくりだ。時速は50キロくらいだろう。しかしこれは車両自体の問題というよりも,
軌道の問題であるようだ。キハ40系列のように鈍重と云う訳ではない。

 
馬来田にて下車。かつては対向式2面2線だったらしい。
階段を降りて駅舎へ。このホームが一段上にある駅というのには昔から憧れていた。
「バリアフリーの観点からするとどうなの?」という見方もあるが、ここは別のところにスロープが設置されている。
駅舎は勿論木造。お約束である青地に白字の看板付き。時間は限られているが窓口営業もしていつようだった。
の惜しむらくはタクシーの事務所のプレハブが置かれていること。それも,わざわざタクシーが事務所を出す程栄えていると考えればそれはそれで構うまい。撮影の数分後には車がやって来た。
構内にあるお手洗いはつい2日前に使用が開始されたばかり。デザインが駅舎に合わせてある。


 
やって来た列車に乗って木更津に戻る。背後に見えるのは圏央道の工事現場である。
整備が遅れる鉄道と誰が使うのかはっきりしないのに整備が続く道路という組み合わせが
日本全国どこにいっても見られる現状に嘆息が漏れる。

木更津から俵田を目指す。駅を発車する度、車掌が乗り込んで来た客の元を廻る。
その車掌とは別にもう一人案内放送や保安要員としての車掌がいる。ワンマン運転をすれば良いのに,
と素人考えをしてしまうが、これには何らかの事情があるのだろう。
車内を廻る車掌の方はどうやら沿線案内も兼ねているらしく、観光客から「〇〇はどうやって行けば?」等と
訊かれていた。聞いていると、乗り合わせた地元の人間のフォローも入ったりして可笑しい。

 
俵田は、渕東を彷彿とさせるようなロケーションの中にある駅。その名の通り辺りには水田が広がっていた。
公道をトラクターが我が物顔で走り抜けていく様は自分の田舎では見られぬシュールな光景である。
(自家用車さえ脇に退いて通していたのだから。)そんなのどかな田舎の駅でも,水洗便所が併設され,
防犯カメラが設置されている。そういう世の中。

 
次なる下車駅は東横田。片側1面1線の駅。待合室は近年建て替えられたものらしい。格子をイメージしたのか。
ただ、透明なアクリル板にただ駅名表だけを貼る辺りの処理はもう少しどうにかできなかったか。
駅そばの姉ヶ崎街道は交通量が多い。しかし人通りはない。もっとも出歩くほど良い天気でもないのだが。
乗客がぱらぱらとやって来たところで久留里行きの列車がやって来た。

首都圏の通票閉塞区間を見に行く-久留里線(2)